JR(飯田橋駅)と東京メトロが利用でき、新宿駅や東京駅(大手町駅)からも乗り換えなしで行けて、交通の便はバッチリ!
そして新宿区という都会のど真ん中にありながら、どこか懐かしさと風情を感じる街、神楽坂。
山の手圏内では、ある意味異色とも言える土地柄かもしれません。
「スリアン神楽坂」が建つこの街はどんな街なのか、その魅力や名前の由来などをお話させていただきます。
花街の風情漂う神楽坂
大正時代、この付近は花街として栄えました。
夕暮れともなると、芸者さんたちが街を歩き、その姿がこの街に色を添えていました。
飯田橋駅を背にした坂の右手側の路地を入ると、今でも花街特有の風情が感じられます。
また、尾崎紅葉や泉鏡花などの文筆家が住み、小説などで取り上げられることも少なくありませんでした。
2007年に放送された倉本聰脚本のテレビドラマ「拝啓、父上様」では、嵐の二宮和也君が演じる主人公が働く神楽坂の老舗料亭が舞台となっています。
中央を貫く通りには、有名なチェーン店など新しい店が並ぶ一方、一歩路地に入れば、古き良き江戸の香り漂う小さな細道に迷いこむ、そんな不思議な街です。
和と異国情緒が交差するロマンスの街、神楽坂
古くは花街として栄え、その風情を今に残しながらも、最近ではおしゃれな雑貨店やカフェも数多く並んでいます。
また、坂の周辺には毘沙門天善國寺をはじめ、若宮八幡や赤城神社など多くの寺社が散在し、文化の街としても人気があります。
そういった「和」のテイストが漂う一方、この街のもう一つの特徴は、どこか西洋風の異国情緒をも感じさせることです。
昔、外国映画で見たような石畳の路地、パリの街角にありそうなパン屋さん、洋風のウッドデッキがあるカフェ…。もちろんフランス料理店も多く存在します。
そんなお店をあちこちハシゴしていると、気分はもうサン・ジェルマンの散歩道!本当に歩いていて飽きることがありません。
この街のことを「小さなパリ」と呼ぶ人がいるのも、うなづけます。
そんな2つの顔を持つ神楽坂、東京の中でもっとも散歩が面白い街の1つかもしれません。
神楽坂の“神楽”って何?
ところで神楽坂の“神楽”とは何を意味するのでしょうか?
神楽とは神道において神様にささげる歌や踊りのことです。
日本神話の中でも有名な「天の岩戸」の話(*注1)の中で、岩戸の奥に隠れてしまった神様を外に連れ出すため、他の神様が岩戸の前で踊ったり歌ったりしたのが、その始まりだとも言われています。
- *1 天の岩戸伝説
- 「古事記」に納められている最も有名な話。太陽の神である天照大御神[あまてらすおおみかみ]を他の神様が怒らせてしまい岩戸の奥に隠れてしまった。そのため世の中が暗闇に包まれてしまう。八百万の神(やおよろずのかみ)たちは何とか天照大御神を外に連れ出そうと岩戸の前で踊ったり歌ったりして大御神を外に出すことに成功した。という話
古来より神楽は自分たちが住んでいる土地の守り神に捧げられてきました。
豊作・豊漁を願い、疫病を追いはらう儀式として、古くから日本各地で行なわれてきました。
今でも農村では、秋の収穫を終えた時期に、神様への感謝のしるしとして神社の中にある神楽殿(かぐらでん)で神楽の行事を行なっているところが少なくありません。
ちなみに、歴代興行収入1位を記録した超人気アニメ「鬼滅の刃」でも、主人公 炭治郎が使う“ヒノカミ神楽”という厄払いの舞と呼吸法が出てきますよね。
そういった人気漫画の影響もあって、神楽という言葉は今や若い人たちの間でも聞きなれたキーワードになりつつあると言えるかもしれません。
「神楽坂」という名称の由来
「神楽坂」の名称の由来については、いくつかの説があります。
坂の近くに高田穴八幡の旅所があり、祭礼で神輿が通るときに神楽を奏したからという説、
「若宮八幡の社」の神楽の音がこの坂まで聞こえたからという説、
津久戸明神が牛込に移転した時、神輿が重くてこの坂を上ることができなかったが、神楽を奏すると容易に上ることが出来たためだという説…
果たしてどれが正解なのかは判りませんが、いずれにしても神楽というものにはやはり縁の深い土地柄のようです。